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<2004/11/11> ■「龍臥亭幻想 上下」(島田荘司・光文社カッパノベルス) 帯にある「御手洗潔と吉敷竹史!」という一文に目を奪われ、ついふらふら と(笑)衝動買いをしてしまった作品。でも実際には2人が顔を合わせるとい うわけではなく、御手洗は電話で、吉敷は実際に龍臥亭を訪れ、それぞれの推 理が石岡と通子とのやりとりを通して「交錯する」という形なのですが。それ でもやっぱり二大巨頭が同じ作品に登場するというだけで、島田荘司ミステリ ファンとしてはわくわくしてしまうものがありますね(^^)。 内容は「龍臥亭事件」でも舞台となった貝繁村の、これまた血なまぐさい伝 説をベースに、連続殺人事件が起こるというものです。 実は私にしては珍しく犯人の見当はわりと早期についていたのですけど、伝 説と現在との両方に通ずる「死体の隠し場所」がどうしてもわからなかったの でした。ヒントは大量に与えられていたのに、あの場所は全然思いつかなかっ たです。う〜む、残念。まだまだ修業が足りましぇん(笑)。 ■「方舟は冬の国へ」(西澤保彦・光文社カッパノベルス) 6年つとめた会社をやめ職探しをしていた和人は、言語同断(てくらだ)と 名乗る男に法外な報酬の仕事を紹介される。それは、とある場所に建つ別荘で カメラと盗聴器の監視のもと、見知らぬ女性と女の子との3人で「疑似家族」 を演じるというものだった…。 西澤氏の作品では、現在はあり得ないとされている非日常的な設定がよく使 われるのですが、この作品も例にもれず予知やテレパシーなどの超能力が登場 します。 かといって内容が突飛だとかそういうことは全然なく、疑似家族を演じてい るうちにだんだんと芽生えてくる本物の愛情にとまどう、登場人物たちの細か い心理描写が非常に読み応えありです。 また、何より一見バッドエンドのようでいて、実はハッピーエンドへの希望 をはらんでいる、「予感」をいだかせるラストシーンが素晴らしいと思いまし た。まさに作者が表紙裏で書いているとおり、「おとなのお伽噺(おとぎばな し)」なのでしょう。おすすめの1冊です。 ■「麦酒の家の冒険」(西澤保彦・講談社文庫) 旅行先から帰る途中、トラブル続きでガス欠になったボアン先輩の車をやむ なく乗り捨て、真夏の山中を歩き回ること数時間。タックたちがたどりついた のは、クローゼットの中に意味深に隠された、ビールとビアマグでいっぱいの 冷蔵庫の他はシングルベッドが1つ置いてあるだけの、異様な別荘だった…。 えーと、この作品は読む時期を思いきり間違えました(笑)。これはなんと しても、冷えたビールが何よりうまい真夏のさなかに読むべきでした。 というのは半分冗談ですが、そこまで思わせるほど、登場人物たち(いわゆ るタック&タカチシリーズの面々)がおいしそうにビールを飲むんですよ〜。 お酒好きな人ならたまらない1冊なのではないかと思います。 ミステリとしては、たどりついた謎の別荘について、人んちのビールを勝手 に飲みながら(笑)タックたちがああでもないこうでもないと議論する、いわ ゆる「アームチェア・ディテクション」になってます。知的ゲームとして楽し める作品ですね。 ■「螺旋階段のアリス」(加納朋子・文藝春秋) 勤めていた会社の「転身退職者支援制度」を利用して、長年の夢だった探偵 事務所をかまえた仁木順平。なかなか依頼者が来ない閑散とした事務所に最初 に訪れたのは、猫を連れた美少女「安梨沙」だった。彼女は強引に、彼の事務 所の助手を志願するのだったが…。 加納氏には珍しく、「おじさん」が主人公の作品です。でもこれが私の感性 に実にぴったりとハマってくれて、非常に楽しく読むことができました。ちょっ とくたびれかけたおじさんと謎がいっぱいの頭の回転がいい少女。この組み合 わせがどうもツボだったようです。 内容については、探偵事務所に持ち込まれる事件を、この2人が絶妙のコン ビネーションで解決していく連作短編集になってます。一見ほのぼのしている ように見えて本質は怖い、という加納氏お得意の物語が満載で大満足でした。 特に「子供部屋のアリス」で、子守に奮闘する2人がナイスでしたね〜。 |